【第3回】膵癌のリスクについて
(連載全5回)
消化器内科医のつぶやき 膵癌のリスク編 連載第3回
連載3回目です。
あまり文章書くのが得意でないのでちょっと疲れてきています。
でも頑張って書いていきます。
3回目のお題はリスクについてです。
膵癌のリスクが高い人
膵癌は悪性度の高い極悪のがんです。手術でも根治できないことがあるくらいです。尚更なるべく早く診断したいがんです。でも膵癌は初期症状が少なく、自分では気づきようがありません。これが難しいところです。
理想は症状が出る前に診断できることです。国民全員が毎日膵癌の検査を受けていれば早期発見できるのでしょうが、現実的にそんなこと出来ません。毎日検査を受けていれば生活が成り立ちませんし、医療機関側もパンクします。
効率が大事です。つまりリスクの高い人を絞って、いいくらいの間隔で定期検査する、ということになります。
ではどんな人のリスクが高いのでしょうか?そんなことわかるの?と思われるでしょうが、普通にガイドラインに記載されています。
a)家族歴
家族に膵癌がいると自分もなりやすいのではないか?と考える方もいらっしゃるでしょう。その通りで、膵癌には関係があるといわれています。第一近親者という言葉があります。自分の遺伝子の半分を持っている近親者のことで、両親、子供、兄弟姉妹がこれにあたります。膵癌患者の5-10%にこの第一近親者に膵癌患者がいるといわれています。そのような場合、その家系は家族性膵癌家系と言われます。家族性膵癌家系の方は近親者に再び膵癌が発生した場合、発症リスクが上がります。1人でも4.5倍、2人だと6.4倍、3人以上だと32倍と言われます。家族歴は重要です。
b) 酒・たばこ
たばこは1.7-1.8倍のリスク。酒は1.1-1.3倍のリスクと言われています。家族歴がある方は特に注意してください。特にたばこは他の病気にもよくないです。禁煙しましょう。
c) 生活習慣病
糖尿病だと1.7-1.9倍のリスクと言われます。特に発症1年以内にみつかることが多いです。肥満も多少関係があり、1.3-1.4倍のリスクがあります。
d) 膵疾患
膵臓に他の病気を抱えていると膵癌のリスクが高まります。
慢性膵炎では13.3-16.2倍、膵嚢胞では3.0-22.5倍、主膵管拡張では6.4倍と報告されています。特に膵嚢胞中でもIPMNはリスクの低い分枝型IPMNでさえ年率0.2-3.0%で膵癌に進展します。
このような膵疾患は超音波(エコー)検査で明らかになることが多いです。機会があればなるべく腹部超音波検査を受けるとよいでしょう。
※※というわけでおススメはこんな感じです。
・禁煙しましょう
・家族歴、生活習慣病持ちの方は腹部エコー検診を受けましょう
・腹部エコーで膵疾患が指摘された方、もともと膵疾患がある方は消化器内科に受診して必要に応じて定期経過観察を受けましょう
ということになります。
今回は結構大事なこと書きました。
IPMNと言われた方は消化器内科に通院することをお勧めします。当院でも対応していますのでご相談ください。次回は診断方法について説明していきます。