診療コラムMedical column

【第2回】膵癌の症状について

消化器内科・院長補佐兼消化器内科主任部長 竹山 友章 2024年05月20日 消化器内科

消化器内科医のつぶやき 膵癌の症状編 連載第2回

早くも連載2回目です。
求められているかはわかりませんが書いていきます。
2回目のお題は症状についてです。

膵癌の症状

症状について書くと言ってしまいました。いきなりちょっと困ってます。というのも膵癌には初期症状がほとんどないからです。前回も書きました。

それでも癌のできた場所によっては早めに症状がでることがあります。
その一つが黄疸です。
膵臓の中でも膵頭部にできた膵癌の場合に出現します。ちょっと待って膵頭部?って何?ってなりますよね。
膵頭部は膵臓の右側の部分です。
図で確認してみください。

出典 「国立がん研究センターがん情報サービス」

この膵頭部には胆管が近くに走行しています。緑色で描かれた管です。
1膵癌がこの胆管を詰まらせると胆汁が腸に流れなくなります。胆汁は便を茶色にする成分です。その成分が行き場を失って血液にたまっていきます。すると体が黄色くなります。もともと白い部分は目立ちます。白目のところが黄色くなります。透明に近かった尿は褐色になります。血尿じゃないかと思う人もいるくらいの色です。その反対に便は白くなります。
膵癌に限らず、黄疸が出た場合はだいたい大きな病気が隠れています。顔が黄色くなったと家族に言われた、尿の色が濃い、などの症状が出た場合は受診をお勧めします。

もともと通院している方は時々血液検査をするので糖尿病が早く判明することがあります。生活習慣や治療が変わっていないのにも関わらず、いきなり糖尿病が悪くなった場合、膵癌が発生して膵機能を落としているのかもしれません。
いきなり糖尿病になった場合も要注意です。主治医の先生に膵臓は大丈夫そうか聞いてみてください。糖尿病で通院している人は自分でもなるべく健診の腹部超音波を受けることをお勧めします。

なんだ、初期症状あるんだ!と思われたあなた。甘いです。
アメリカのチョコレートくらい甘いです。
実はこれらの症状もあくまで早め、というだけです。
本当に早期に診断できるのは無症状で偶然発見された場合がほとんどなのです。

逆にどんどん進行すると他の癌と同様に食欲がなくなり、体重が減っていきます。腹痛や背部痛に苦しむことがあります。腹水がたまってくるとおなかが腫れてきます。このような全身症状が出現してから診断になると提供できる治療も限られてきます。

はい、症状について説明してきました。
気になる症状があれば主治医の先生にご相談してみてください。
とはいえ症状が出る前に診断することが大事な膵癌です。次回は膵癌のリスクが高い人について説明していきます。乞うご期待です。

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