診療コラムMedical column

不整脈、カテーテルアブレーション

循環器内科・循環器内科主任部長 鈴木 智理 2024年03月01日 循環器内科

不整脈

規則正しい心臓の拍動とは異なる心臓の状態(不規則になる、突然速くなる、遅くなる)を不整脈といいます。症状は様々で、心拍が速くなる、脈が乱れる、胸がドキドキする「動悸」、めまい等があります。不整脈には多くの種類があります。放置しておいても問題ないものから、不整脈そのものが突然死を引き起す心室細動、心室頻拍や脳梗塞を発症させる心房細動など、放っておくと危険な不整脈もあります。当院では症状、ホルター心電図、心臓エコー検査などで治療方針を厳密に判断し、薬による治療やカテーテルアブレーション、ペースメーカー治療を患者様に提示し治療を進めさせていただいています。

不整脈は徐脈性不整脈と頻脈性不整脈に大きく分けることができます。今回は頻脈性不整脈治療のカテーテルアブレーションについて紹介させていただきます。

カテーテルアブレーションとは

カテーテルアブレーション
は、心臓内の不整脈の原因部位に高周波、冷凍凝固、レーザーを加えることにより不整脈の原因を取り除く根治的カテーテル治療です。心房細動、心房粗動、WPW症候群、発作性上室性頻拍、心室性期外収縮、心室頻拍などほぼ全ての頻脈性不整脈が対象となります。日常の診療で遭遇する多くの不整脈はカテーテルアブレーションの効果が期待できます。

鼠けい部の血管から、直径約2mmのカテーテルを心臓内まで挿入して治療を行います。不整脈回路を同定した後、治療標的部位にカテーテルで高周波通電などを施行し、そのエネルギーで不整脈回路を無くしてしまいます。カテーテルアブレーションは根治療法です。治療後には症状が消失し内服治療や通院は不必要となり、快適な生活を送ることが可能です。

当院では3次元ナビゲーションシステムを使用したカテーテルアブレーションを行なっています。このシステムを用いることにより不整脈の電気の流れを3次元画像で立体的に可視化することができるため、複雑な回路をもつ不整脈の解析も可能となります。その結果、治療すべき部位の正確な認識が容易であり、成功率向上、治療時間短縮、安全性向上が得られています。特に心房細動に対しては、3次元CT画像下で両側肺静脈拡大隔離術を施行しています。いずれの頻拍症においても良好な成績を認め積極的に施行しております。

今後の展望

新しいエネルギー源によるアブレーションとして、パルスフィールドアブレーションが開発されました。これは電気パルスを加えることにより細胞膜に孔を開け、細胞死を誘導する治療法です。心筋細胞は電気パルスに耐性が低いため、心筋のみを選択的にアブレーションすることが可能となります。そのため心臓周囲の臓器(食道、気管、神経など)に影響を与えずに、安全なアブレーションが施行可能となります。さらにパルスフィールドにはアブレーション後の組織線維化が発生しにくい特徴を有し、治療後の心臓合併症を回避することが期待されています。本邦でも最近パルスフィールドアブレーションの機器が薬事承認されました。当院でもいち早くこの治療法を開始したいと考えています。

心房細動に対するカテーテルアブレーションは比較的新しい治療ですが、最近続々と有効性、優位性を示す新たなエビデンスが出ています。今後はさらにカテーテルアブレーションを積極的に施行するようになると考えています。

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