頚動脈狭窄症
1.頚動脈狭窄症
脳梗塞は本邦における寝たきりの原因の第1位の疾患です. その原因の2-3割に頚動脈狭窄症が関与しているとされています. 本疾患は高齢化や生活習慣の変化により増加傾向にあることで注目されており, 中程度以上の狭窄を認める患者数は本邦で200万人以上と推定されています.
動脈硬化が原因となる粥状変化により血管の狭窄をきたす病態であり, 血管壁が血管内膜によって厚くなる(プラークを形成する)ことで脳梗塞を引き起こします.
頚動脈狭窄症により脳梗塞が起きる機序には主に以下の3パターンがあります.
- 高度狭窄による脳血流の低下
- 柔らかいプラークが破綻し, 脳血管に詰まる
- プラークにより血栓が出来やすくなり, 形成された血栓が脳血管に詰まる
その為, 頚動脈狭窄症が見つかった場合は, 内科的治療(薬物治療)を行うか, 外科的治療の介入が望ましいかを検討することになります.
脳梗塞を発症して初めて発見される場合が多く, その後に再発予防のため治療介入を行なってもほとんどの方は後遺症を伴ってしまいます. 本疾患を事前に診断することで脳梗塞の発症を予防できる可能性があります.
2.診断方法
頚動脈エコー, MR angiography (MRI), 3DCT angiography (造影CT)等で診断されます.
頚動脈エコーは簡便で普及率が高く有用です.
3.治療方法
内科治療:
外科治療:

(図1)

(図2)
4.Topics
これまでは柔らかいプラークはステント留置術をおこなった際にステント間隙からプラークが逸脱することで遠位塞栓を起こしやすいとされていました. 最近ではプラーク逸脱を防ぐ目的に2層構造のマイクロメッシュステントが開発され当院でも使用しております. このような新規デバイス開発により治療成績の向上, 治療の低侵襲化が期待されます.