部門案内 放射線治療センター
当院の特徴
2019年4月より最新型ラディザクトによる放射線治療を開始しました。
ラディザクトはトモセラピーの最新の治療機械です。
2019年8月より常勤として日本医学放射線学会放射線治療専門医が1名着任しました。
名古屋市立大学病院放射線科より放射線治療を専門とする非常勤医師数名を派遣していただいております。
2019年度は新患件数も200件を超え、2020年度4月より放射線治療専門医修練施設として認定されました。

ラディザクトの特徴
・身体への負担が少なく、身体に優しい治療ができます。
・治療中の痛みはなく、仰向けでじっとしていれば1回約20分で治療は終わります。
・副作用は治療部位の周りにしかおきません。
・高精度・低侵襲の治療を行えます。
・日常生活(仕事や家事や育児)をしながら、通院治療もできます。
・周囲の家族や子供に放射線の影響はありません。
・全身の病変に対して治療が可能です。
・健康保険が適用され、高額療養費制度による患者負担の治療費の上限が適用されます。

治療スタッフ
放射線治療医
患者さんの状態に合わせて放射線治療の方針を決めます。
治療前、治療中、治療後に、必要に応じて診察、他科の医師とも連携して放射線治療を行います。
医学物理士、診療放射線技師
患者さんにあった最適な固定具を作成し、治療計画用CTを撮影、治療計画の補助を行います。
作成された治療計画が正確に行われるかの検証作業を行います。
看護師
治療前、治療中、治療後の全期間を通して、患者さんの気持ちに寄りそって患者さんの不安を和らげつつ、治療による副作用の観察とケアを行います。
他部署との連携
必要に応じて、栄養相談、心理的なサポート、社会的な背景の支援を行っていきます。

業務・取り組み
・「患者さんの立場にたって」をモットーとし、チーム医療を主軸に行っていきます。
・自分や家族が受けたいと思える治療をスタッフ一同、心がけております。
放射線治療のながれ
1.事前面談
看護師が事前に病歴をお聞きし、今後の流れについてご説明します。
2.初診
放射線治療医が診察を行います。
副作用や治療スケジュールについて説明します。
ご家族も一緒にお聞きください。
3.治療計画用CT(MRI)
固定具(マスクや専用マットなど)を作成し、
治療計画を立てるためのCT(MRI)を撮影します。
身体に印を書き、シールを貼ります。
4.治療計画・検証
患者様にとって最良の治療となるように、治療計画用CT、MRIをもとに治療計画を立てます。
できた計画通りに放射線が当たっているか確認します。
この準備期間は基本的には約1週間ですが、状況に応じて開始を早めます。
5.治療開始
治療時間は、約15~30分です。治療計画用CTと同じ状態で行います。
治療中に体内・体形変化がある場合はPreciseARTを用いて
再治療計画の必要性を検討します。
毎日の治療のながれ
1.受付、着替え
受付後、治療計画用CTと同じ検査着に着替えます。
2.ラディザクトに横になる
治療計画CTの時と同じ体位で寝台に横になります。
固定具を使用する場合もあります。
3.ラディザクトでCT撮影
放射線治療装置ラディザクトで位置合わせ用CTを撮ります。
位置合わせ用CTと計画用CTを正確に合わせます(これをIGRTと言います)。
4.放射線治療
放射線治療を行います。
治療中は動かないようにしてください。
5.Precise ART
Precise ARTで体形・体内臓器の変化がある方の放射線治療計画に大きな変化がないかを確認し、場合によって再治療計画を行います。

放射線治療の代表例
前立腺がん
前立腺がんの放射線治療は、手術と同等の効果が得られることがわかっています(病期による)。
治療期間中は、仕事や趣味をつづけることも可能で、大多数の方は日常生活を送りながら通院して治療を受けることができます。
1日1回(約15分)、週5日間、他院より少し短い28回の治療が基本となり、約1ヶ月半で終了します。
2020年1月より局所前立腺癌に対する放射線治療依頼を、放射線治療科に直接ご依頼いただけるようになりました。
当院では主に直腸への副作用(血便など)を減らす目的で、前立腺と直腸の間に吸収性ゲルを注射する処置と前立腺に目印(金マーカー)をつける処置を治療の事前準備として1泊入院で行っております(下図参照)。他院にご紹介し行っていただく場合もあります。
膀胱への副作用(血尿など)を軽減するためには尿量コントロールが必要です。治療前に毎回、専用の超音波装置で尿量測定し尿量コントロールをしております。

乳がん
乳癌の手術後の再発予防、生存率をあげるために放射線治療を行います。治療期間中は、仕事や趣味をつづけることも可能で、大多数の方は日常生活を送りながら通院して治療を受けることができます。
治療は1日1回(約15分)で週5日間、全部で16~30回です。2020年2月より乳癌に対する寡分割照射を始めました。適応となる患者様は、従来の25回(もしくは30回)より少ない16回(もしくは20回)の治療となります。
当院では治療中の主な副作用である治療部位の皮膚炎に対して積極的に対応しております。お気軽にスタッフまでご相談ください。

転移性骨腫瘍 (骨転移)
放射線治療によって「痛みの原因」 を取り除きます。
痛みを取り除き、腫瘍を縮小させ、将来的なマヒや骨折予防のために放射線治療を行います。
当院では、痛みを取り除くだけではなく、より長く病気を制御できるように、骨転移の部位によっては、より精度の高いSRT(定位放射線治療)で治療を行います。
1日1回 (約15分)で週5日間、他院より少し短い5回(1回~13回)で放射線治療を行います。
基本的に主病名の当院担当科からのご紹介で放射線治療を行っておりますが、他院からご紹介の患者様でも緩和外科と相談のうえ入院治療にも対応することができるようになりました。お気軽にお問合せください。

IGRTとは
IGRTとは毎回の治療時に画像を撮影し、治療する位置を確認して正確に放射線を照射する技術です。
患者さんの位置や体内臓器の位置のずれを正しい位置に修正します。

当院のIGRT
当院では、ラディザクトで治療前に毎回MVCT(=位置合わせ用CT)を撮影します。
位置合わせ用CTと治療計画用CTを重ね合わせて、正確に位置を合わせます。

PreciseARTとは
治療期間中に生じる体形の変化や体内臓器の位置の変化によって、予定の放射線治療と大きく変化していないかを確認します。
例)前立腺がん
毎日の治療で体内臓器(膀胱、前立腺、直腸)の形や位置、大きさはわずかながら変化します。

治療毎に形や大きさがわずかに変化します。
Yang D, et al. 2009より一部抜粋
当院のPreciseART

①予定の放射線治療と、②実際の放射線治療を比較して、
体形変化や体内臓器の変化がないかどうかを確かめています。
大きな変化がある場合には再計画をすることもあります。
Q&A
Q.健康保険は使えますか。
A.健康保険で治療が受けられます。費用は治療方法によって異なります。
保険診療ですので高額療養費制度も利用できます。
Q.入院しなければ治療を受けられませんか。
A.通院での治療も可能です。お仕事をしながら治療することも可能です。
予約時間についてご相談ください。
Q.治療および治療以外について不安がありますが、どうしたらよいですか。
A.専従の看護師や認定看護師への相談、場合によっては臨床心理士のサポートも行っております。
Q.痛みが強いのですが、治療開始は他の患者さんと同じですか。
A.可能な限り優先して、治療開始するよう配慮させていただきます。ご安心ください。
Q.治療を途中でやめても大丈夫ですか。
A.基本的に、最初に決定した治療計画通りに治療を行うことをおすすめします。
治療を途中で休止したり、治療期間が延びると治療効果が下がる病気もあります。
治療の休止・中止のご希望がある場合は、主治医・担当医にご相談ください。
Q.治療期間中に小さな子供が周囲にいても大丈夫ですか。
A.当院では身体の外から放射線をあてています。
患者さん自身から放射線が出ることはありませんのでご安心ください。
Q.治療によって髪の毛は抜けますか。
A.基本的に放射線治療はあてた部位にしか効果も副作用もでません。
そのため、頭部以外に放射線をあてた場合には髪の毛が抜けることはありません。
Q.どのように放射線治療科を受診すればよいですか。
A.基本的に主病名の当院担当科からのご紹介で受診していただきます。
2020年1月から局所前立腺癌に対する放射線治療のみ当科に直接紹介受診いただけるようになりました。
また、初診・再診とも完全予約制を実施しております。
院内感染対策
新型コロナウイルス感染症等感染防止対策実施医療機関「みんなで安心マーク」を取得しました。
●院内の環境整備
・設備のアルコール消毒
・患者さんごとの器具をアルコール消毒
・スタッフの防護メガネやマスクを装着、随時手指消毒
●発熱患者さんへの対応
●電話再診の導入
●治療費支払い方法の相談
●寡分割照射の導入
