病院だより 第18号 白内障について
眼科医長 山本健太郎
一宮市民病院、小牧市民病院、ロンドンのMoorfield Eye Hospitalを経て、2018年1月より当院で眼科医長を務めさせていただいております山本健太郎と申します。当院では広く白内障手術・硝子体手術・緑内障手術や眼瞼手術等を手がけておりますが、このなかでも最も多い白内障について簡単にご説明いたします。
白内障とは?
目の中にあるレンズ、水晶体が濁ってくる現象が白内障です。カメラのレンズに当たる水晶体が濁るため、その後ろの網膜にまで光が十分届かず、かすんだり、ぼやけたりするようになります。多くは老化現象ですが、糖尿病やアトピー性皮膚炎、外傷やステロイドにより、若くして白内障になることもあります。進行した白内障の治療は手術だけで、点眼薬では進行は抑えることが出来るものの、透明に戻すほどの効果はありません。
手術の実際
3mm以下の小さな切開創から器具をいれ、濁った水晶体の中身は超音波を用いて取り去り、残った水晶体の袋の中に眼内レンズを移植します。手術時間は15分程度、準備や後片付けを含めても30分程度で、麻酔は点眼のみか、軽い注射だけです。当院では主に一泊二日、ないし二泊三日の入院で、片目ずつ手術を行っています。
手術の限界と注意点
水晶体の濁りが取れた分はすっきり色鮮やかに見えるようになりますが、眼内レンズでは自由なピント合わせは出来ないため、眼鏡無しで遠くも近くも見えるようにはなりません。各自の生活スタイルに合わせたピントをよくご相談した上で選択する必要があります。また、このピントがあう位置は、手術前には計算で予想することしか出来ず、若干の誤差を生じる可能性があります。近視が強い方、レーシックを受けられた方などは特にこのピントずれが起こりやすいとされています。
その他にも多くの合併症が起こりえますが、当院では術前によくご説明し、ご納得いただいた上で、最善の医療を提供して参ります。